2005年09月11日

戦争論

小林よしのり

この本の評をするのは、とても難しい。というのは、あまりに色々な思いが去来して、取り止めがなくなってしまう。

まず、好き嫌いをいえば、好き!痛快である。それだけは絶対言える。イデオロギー云々より、わたしゃはっきりモノ言わないやつは大嫌いなもんで。

戦争論.jpgこれを読むと、自分がいかに日本の歴史を知らないか、また関心がなかったかを思い知る。特に戦争に関しては。どうして参戦したのか、状況はどんな具合だったのか、どう負けたのか、その後何があったのか、それは現在、どういう影響として残っているのか、など。考えたこともなかった!それがこの本を読んで一挙にのめりこんだ。作者の目的は、私のような全く関心の無かった人を惹き付けることだったとすれば、まさに大成功である。

大成功の鍵は、作者が格好の「媒体」を持っていたことだ。漫画!「女−遠藤周作」の書評でも言ったけど、私は歴史や政治などに興味があるけれども、歴史書や政治の本って、無味乾燥で読めない。それはまー私が脳みそ足らんのと、根性がないのがいけないのであるが、でも普通の人って、そうじゃん?脳みそあって、根性もある人にだけ読まれても、普及しないじゃない?だから、「言論人」だけの論争になっちゃうんだよ。この本は、難しい問題をそんなフツーの人の「目の高さ」に持ってきてくれている。

しかも、資料は豊富。マンガ描くのって、すごい手間のかかる仕事だと理解してるんですが、それに加えて調査まで良くやったもんだと関心。細かく細かく調べている。当時の兵隊さんたちの個人的な手紙や詩、当時の写真や新聞記事、政治家がどこで何を言ったか、国際法などの法律・・・・。アタマいてー。でもそんな情報や資料も、「目の高さ」に降りてきてるから、理解するのに労力使わないで済む。

それに、作者には、提示する「自分の見解」がきちんとある。「信念」と言ってもいいだろう。これがあるのとないのとでは、面白さが断然違ってくるよな。歴史的な知識はあっても、「だからどうなんだ」って言えない人の話ってつまんないもん。私は、作者は「日本人として誇りを持て!」と言ってるんじゃないかと思う。そして、それには大いに賛成。戦争に対する意見や、事実はどうだったかというのは、それぞれいろんな意見があってもいいけど、何も恥じることはないんだ!と私もこれを読んで思いました。

それに加えてもすばらしいのは、この本には「テーマ」が感じられること。それはなんと、「愛」なのだ。作者の論理は一貫して、「戦争なんだから、日本も他国と同じように悪いこともしただろう。でも、兵隊さんたちは、自分の国や家族を守るために戦争に行ったんだ」である。これは「軍事主義」とか「愛国心」とかと真っ向から対向する思想だと思う。一般の人にしてみればさあ、国がなんで戦争したいかなんてしらないし、止められるもんでもないし、ただ、戦争になっちゃったもん、自分の愛する人や土地を守るしかないんだよ。作者は「命を懸けてでも、守らなければならないものがある」とくりかえし解いているが、その「もの」とは、「自分の愛するもの」なんだと、私は思うなあ。

こんなにいっぱい缶詰になった本はなかなかないよ。作者の意見に賛成・反対、とか、こういう描き方、嫌い!とか思う前に、必読!の一冊ですな。


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posted by チュチュ姫 at 06:51| Comment(0) | TrackBack(1) | 小林よしのり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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